卓吾の水墨画とは 
 
  
a水墨画の余白と線

 中国には「気韻生動」という言葉があります。
水墨画の余白は、画中にあってただの白ではなく意味を持っています。
花鳥を表現する時でも、バックは塗らなくても、そこに空、水、を感じさせることができるのです。
つまり、何も描かない紙の白そのものが何かを象徴しなければいけないということです。
その白が、川や水や雲に見えるように、そして風が吹き雲が流れ動く揺れ動くさまをその余白の中に表わし、画家自身の夢をも溶け込ませて、詩情豊かに表現することができるのです。

 又、水墨画における線の表現は画面の原点であり基本となります。
大きく分けると、線は形、動、質の3つの意味を表わすことができます。
線は空間を分ち、個性を表現し、強弱、リズム感など
線を借りて心の感情の起伏までも表現することができるのです。




 b水墨画の精神と技法

 東洋における墨絵を考えるとき、表現しようとするものは外形に左右されない本質的な自然であり、画家の自分自身の中に見出される内面性を筆と墨で表現する事であります。

 まず、描く前の心構えが大切であり、描こうとする対象を頭の中に記憶し、描写したいと思うものを感ずるままに空間に呼び戻し、一気に墨筆を叩きつけて白紙の無と対決した時、空間の有との間に墨と筆の芸術とも言うべき水墨画が生まれます。
つまり、無我の境地になって、丹田に力をいれ気を落ち着けて神経を集中していく時、腕から手へと勢いが伝わり、それが指にいたり、そして筆先へ到達し、紙の上へ勢いが移るのです。

 無我の境地になればなるほど純粋なものが表現されるものと私は思います。
しかし、それまで習得するには、長い時間と修練を積み重ねなければならず、その上感覚を磨きかつ努力を続けなければなりません。




 このホームページで紹介する卓吾の水墨画を通じて皆様に少しでもそういった水墨画の精神と歴史が伝わり、更に多くの人が水墨画に興味を持っていただけるきっかけになれば幸いに思います。
cプロフィール


昭和24年
宮城県にて、中国人の父と日本人の母の間に生まれる。

昭和31年ー51年
中国水墨画習得のために上海へ。
謝稚柳門下、施立華先生に師事。

昭和52年ー57年
帰国、フランスサロンドトンヌ連続入選7回。
日本銀座三越、松屋、大黒屋個展7回。

昭和59年
ヨーロッパ外遊個展(フランス、ドイツ、イタリア
          オランダ)
スイスプティパレ美術館「老梅」永久保存。
オランダマスタリー美術館招待個展「風竹」永久保存。
水戸現代美術館「長江」永久保存。
中国蘭州市美術館「老松」永久保存。
上海浦東芸術協会交流展「秋田杉」永久保存。

平成7年
内閣総理大臣賞受賞「赤松」

平成11
秋田県文化選賞受賞

平成13年
上海中国水墨画院招待個展、上海新報電視台放映
日本、仙台、河北新報主催卓吾水墨個展テレビ放映
日本、秋田、魁新報主催卓吾水墨個展テレビ放映


現在

・全国水墨画美術協会副会長
・秋田県水墨画協会会長
・秀作展審査員
・東京墨美会芸術顧問
・新宿常円寺水墨教室講師
・仙台市墨宗会主宰、教室講師
・秋田市社会文化センター教室講師
・秋田市ジョイナス教室講師
・秋田市寺内油田アトリエ
・千葉九十九里町アトリエ

 卓吾近影
         卓吾近影

 主な著書

・水墨花鳥画法(日貿出版社/1986年)
・水墨山水画法(日貿出版社/1986年)
・日本の四季画帖(目の眼出版社/1988年)
・花鳥風景水墨帖(秀作社/1989年)
・卓吾水墨画帖(里文出版/1994年)
・卓吾水墨画の風景(秀作社/1996年)
・卓吾水墨画 花を描く(秀作社/1997年)
・卓吾水墨画 海、川、森を描く(秀作社/1998年)
・卓吾水墨画 雪景を描く(秀作社/1999年)
・卓吾水墨画 ヨーロッパ紀行(秀作社/2000年)
・画業50周年 卓吾水墨画集(2007年)
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